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2025年10月08日

「第30回日本糖尿病教育・看護学会学術集会」2025年9月20日~21日開催

つくば国際会議場にて、日本糖尿病教育・看護学会(JADEN)とCDEJ認定機構の共同企画により<CDEJシンポジウム>を開催しました。

学会テーマ「多様性に配慮した糖尿病療養支援」

シンポジウムテーマ

「多様化する糖尿病合併症・並存疾患の診療とCDEJの役割」

座長(敬称略)

・宇都宮 一典
( 慈生会野村病院 / 東京慈恵会医科大学名誉教授 / CDEJ認定機構理事長 )
・橋本 祐子 
( 医療法人社団亮仁会 那須中央病院 )

演者(敬称略)と演題

1.鈴木 亮( 東京医科大学 / 医師 )

「合併症診療の最前線–最新の知見から」

日本糖尿病学会は、糖尿病治療の目標として「糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL」の実現を 掲げている。血糖、血圧、脂質代謝の良好なコントロール状態と適正体重の維持、および禁煙の遵守によって合併症の発症、進展を阻止することが従来から重視される。2型糖尿病では、初診時すでに網膜症、腎症、神経障害および動脈硬化性疾患などを認める場合が少なくない。血糖管理とともに合併症の有無をチェックして、病態や合併症に沿った食事療法、運動療法、生活習慣改善に向けた糖尿病教育を行うことが大切である。

2.渡部 一美( 東京都立多摩総合医療センター )

「循環器疾患とその支援」

糖尿病は単なる代謝疾患ではなく、心疾患など多くの疾患と密接に関連する全身性疾患である。 日本人糖尿病の死因の調査では、糖尿病患者における死因は、虚血性心疾患3.5%、虚血性心疾患以外の心疾患9.0%で、非糖尿病患者、心疾患は自覚症状に乏しく進行することもあり、早期発見と予防が 重要である。その一方糖尿病患者が治療を中断するケースが少なくない。健康診断で高血糖を指摘 され病院を受診したが治療を中断し、狭心症から心不全になり救急搬送に至った患者を受け入れた経験がある。

3.水野 啓子( ひたち腎臓病・生活習慣クリニック たんぽぽ )

「糖尿病性腎臓病とその支援」

2023 年末、新規透析導入患者の原疾患で最も多いのは糖尿病性腎症、次いで腎硬化症、慢性糸球体腎炎である。 2012 年度診療報酬改定により糖尿病透析予防指導が開始され、「自分の腎臓について知ることか ら始め、腎臓を守るためにできることは何か、普段の食事や生活の振り返りを行いながら、医師、 看護師、管理栄養士からなるチームを構成し、必要な支援の提供」が始まった。 糖尿病と診断され、早期から腎症の進行を最小限にするための治療が開始された。患者が病期を正しく受け止め、患者と医療者は的確な方法で、その時々に重要なことを協議し、チーム全体で連携しながら支援していく必要がある。

4.橋本 祐子( 医療法人社団亮仁会 那須中央病院 )

「認知症とその支援」

CDEJ資格を取得したのは2002年である。当時は糖尿病患者へのスティグマが強く、「苦労して治療している患者」とのコミュニケーションは大変難しいと感じた。これらが学びを深めるきっかけとなり、コミュニケーション・スキル(ゴードン・メソッド)のインストラクター、糖尿病看護認定看護師、特定行為研修など、臨床で糖尿病ケアへの学びを重ねてきた。現在、訪問看護師とダブルワークで認知症のある患者を訪問し、いろんな経験をし、支えることの大変さを実感している。 また、糖尿病を持つ方へ、正しい知識は充分に届いていないと感じている。そこで、2021年CDEJの会を立ち上げ、有資格者支援を開始した。

まとめ

先ず、座長であるCDEJ宇都宮認定機構理事長は、CDEJ認定機構が今年2月、設立25周年を迎えることが出来たのは、日々、全国で活躍するCDEJによるものであると話された。また、CDEJを取り巻く環境は大きく様変わりし、働く場は専門病院から介護現場まで、多岐にわたっているため、今回のシンポジウムテーマである「「多様化する糖尿病合併症・並存疾患の診療とCDEJの役割」としたと解説された。各シンポジストはそれぞれの職場環境の中で考えるCDEJとしての役割を述べられた。
最後の総合討論では、今日の多様性に配慮した糖尿病支援の場において、CDEJは欠かせない存在となっているとの認識を共有する、大変有意義な討論となった。