学会テーマ「ささえれば、きっと未来は変えられる!」

つくば国際会議場にて、日本くすりと糖尿病学会(JPDS)とCDEJ認定機構の共同企画により<CDEJシンポジウム>を開催しました。
シンポジウムテーマ
「糖尿病に携わる薬剤師の活躍と後進育成を考える~若手×ベテランが語り合う、糖尿病ケアの未来と人材育成~
座長(敬称略)
・ 工藤 浩史( 国立国際医療センター 薬剤部 / CDEJ )
・ 辻本 勉( 武庫川女子大学 薬学部 / CDEJ )
演者(敬称略)と演題
・ 宇都宮 一典( 慈生会野村病院 / CDEJ認定機構理事長 / 医師 )
「これからの糖尿病医療と薬剤師CDEJの役割」
⇒チーム医療に求められるのは職種間のタスクシェアであり、それぞれのプロフェッショナルの視点を融合しながら、最適な療養指導方針を決定している。また、介護の領域では医師の指示は様々な指示書の形で出され、それに基づいてケアが行われるが、病院内とは違い、カルテを見るなどリアルタイムに十分な情報を共有できるわけではない。我が国の糖尿病患者の70%が高齢者で占められるに至り、要支援・要介護状態の糖尿病患者が急増することは不可避であり、薬剤師CDEJの活躍が望まれる。
・ 新妻 麗華( 国立国際医療センター 薬剤部 )
「レジデント教育を受けて病棟薬剤師始めました」
⇒当院は糖尿病総合診療センターを有しており様々な背景の患者さんや膵島移植などの先進医療にまで関わることができ、若いうちから多くの経験を積むことが出来る環境に感謝しつつ業務に励んでおります。また、退院後も患者さんがシームレスな医療を受けられるよう、薬薬連携にも力を注いでいきたいと考えています。特に、シックデイ時の対応について患者さんへ説明した内容はお薬手帳に記載し共有できるように心がけています。
・ 泉 亮介( まんまる薬局 / 元杏林大学医学部付属病院 )
「先駆者が築き上げた地盤を引き継ぐ事になり必死に取り組みました(大先輩が作り上げた土壌で悪戦苦闘・・・)」
⇒私が勤務していた大学病院は教育機関としての側面を有しているが、かつては病棟業務や実践的な薬学的知識・服薬指導の習得は、見習い期間や担当病棟の引き継ぎといった、限られた場面に委ねられるケースが少なくなかった。そうした状況でも医療の質を担保・向上させるには、学習環境や自己研鑽の選択肢を組織として提示する仕組みが不可欠であるし、専門性の高い薬剤師を育成するにはそれだけでは十分とはいえない。本シンポジウムでは、認定資格を取得するまでの経験やその背景を振り返り、糖尿病に携わる薬剤師の後進育成の在り方を議論した。
・ 古林 美貴( ココロ調剤薬局 シンボルタワー店 )
「CDEJを維持する難しさと保険薬局で求められる役割」
⇒CDEJを取得したことをきっかけに香川県へ移り、糖尿病外来専属薬剤師として勤務した。患者さんとの信頼関係を築く事は時間を要するが、チーム医療に欠かせないものでありCDEJに求められる役割であった。私が資格の維持が最も困難だったのは、この頃であり妊娠・出産の時期や育児期は学会参加が難しく更新を諦めそうになった事もあった。しかし今振り返れば、この頃の経験があったからこそ現在の自分があり、また学会参加により多くの貴重な出会いがあった。育休明けには同じ環境で働けるよう配慮していただいた職場のおかげで、スムーズに継続する事ができて大変感謝している。その後、薬局に転職し、病院とは違う在宅の場で寄り添う医療を心がけている。クリニックとはカンファレンスを通して、またケアマネージャーとも連携しながら患者さんを中心としたチーム医療を行っている。今私にできる後進の育成について、薬局薬剤師として出来る事を皆様と一緒に考えていきたい。
・ 久保田 亜希( 名古屋大学医学部付属病院 薬剤部 )
「大学病院におけるCDEJの役割 -開拓・教育・発展に向けて」
⇒名古屋大学医学部附属病院では、糖尿病サポートチーム(DST)の中核として、CDEJが「患者教育」は基より、「糖尿病に関するガイドライン作成」、「糖尿病関連インシデント解析」など多岐にわたる役割を担っている。当院では5名の薬剤師がCDEJとして活躍しており、チーム医療において重要な役割を果たしてきた。国内におけるCDEJの設立は2001年と先進国の中では比較的遅く、活動内容はまだ発展途上にある。私が勤務する大学病院は、職員の流動性が高く、教育の継続性や全病院職員への周知が課題となる。その一方で、他職種連携や豊富な臨床経験を得られる点は大きな利点となる。
